2015年7月13日月曜日 | By: 毅山

詩吟入門2 【詩吟をやってみる】 課題吟 山中問答 李白

「詩吟」と聞いて「難しそう」と思われる方が多いと聞きます。

実際に、覚えなければならない事も、決して少なくはありませんが、今回は「詩吟入門」ですので
最低限のルールを覚えて、先ずは【詩吟をやってみる】ことから始めましょう。

最低限のルールとは、【音程】です。

前回の【絶句とは】で、漢詩
の基本的な内容を理解していただいたと思います。

漢詩の「素読」で、アクセントに気を付けて詩文を読む事に慣れてきたら、詩吟の音程に合わせて声を出してみましょう。

【音程】

高音(上向きの△) ラシド
中音(横向きの△) レミファ
下音(下向きの△) ラシド

勝手にリンクを張らせていただいておりますが
Tanuhさんの 詩吟コンダクター「明智君」 改訂版07/09

パソコンで操作する場合、マウスでクリックする以外に、キーボードで直接演奏もできるので、音程の確認であれば十分すぎる機能があります。

「明智君」で、ラー、シー、ドー、レー、ミー、ファー、ラー、シー、ドー
を押して音を出してみてください。

それから【本数】

男性 水1本~5本  通常1本~3本位の方が多いと思います。

女性 4本~9本   通常5~7本位の方が多いと思います。

【下音】から【高音】まで無理なく出せる、自分に合った本数で声を出してみましょう。


次に簡単な発声練習です。

一番下の音ラから行きましょう!

ラの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
シの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
ドの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
レの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
ミの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
ファの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
ラの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
シの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー
ドの音で あーえーいーうーえーおーあーおーんーーー

母音の切り替えを意識して、しっかりと口の形を変化させながら、ハッキリとした発音で
【あー】、【えー】、【いー】、【うー】、【えー】、【おー】、【あー】、【おー】、【んー】

出来ましたでしょうか?

それぞれの音で、全ての母音が滑舌よく発音されているか確認しながら、お腹から声を響かせるイメージで発声練習を行いましょう。



この時に、細かいビブラートが入らないように、ストレートな発声を心掛けてください。



詩吟の音程と、母音の発声が出来たところで、早速始めてみましょう!



それでは、「山中問答」の起句一節より

入門1でやった「素読」を、音程に合わせていきます。


この音程ですが

よ(ラ)に(ファ)と(レ)お(ファ)ー(ゆり止めラーファ)

この時「よにとう」の「う」は、「お」という発音になりますので気を付けてください。

「よにとお」となります。


赤い△が横向きの時は、ここは「中音ですよ」と言うことです。


この記号は「ゆり止め」と言い、ここでは母音「お」を(ファ)の音程で伸ばして
最後に(ラ・シ・ラー・シ・ラ・ファ)で軽く止めます。音程を揺らして止めるので「ゆり止め」
と言います。

【サンプル動画】


最初は、このゆり止めのところを

    お(ファーー・ラー・ファ)

で、簡単にやってみてください。

【簡単版サンプル動画】




続けて


な(ラ)ん(ファ)の(ファ)い(ファ)あ(ラ)って(ファ)か(ファ)ー(ミ)ーー(ゆり止めファーミファミド)
【サンプル動画】


簡単版
な(ラ)ん(ファ)の(ファ)い(ファ)あ(ラ)って(ファ)か(ファ)ー(ミ)ーー(ゆり止めファーミド)
【簡単版サンプル動画】



続けましょう。
へ(ミ)き(シ)ざ(シ)ん(シ)に(シ)ー(ラ)ー(シ)ー(ド)ー(シ)ー(ラ)ー(ファ)ー(ミ)ー
す(ラ)む(ファ)と(ファ)ー(ミ)ー(ファ)ー(ミ)(ド)(シ)(ラ)
わ(ラ)ら(シ)って(シ)ー(ド)ー(シ)(ラ)

こ(ド)た(ファ)え(ミ)ず(ミ)ー(ファ)ー(ミ)
こ(ド)こ(ファ)ろ(ミ)お(ファ)の(ラ)ず(ラ)か(ラ)ら(ラ)ー(シ)ー(ラ)ー(ファ)ー(ミ)ー
か(ラ)ん(ファ)な(ファ)り(ファ)ー(ミ)ー
と(ド)お(シ)か(シ)ー(ド)ー(シ)ー
りゅ(ラ)う(シ)す(シ)い(シ)ー(ド)ー(シ)ー(ラ)ー(シ)ー(ラ)
よ(ミ)お(ド)ぜ(ド)ん(ド)と(ド)し(ド)て(ド)ー(シ)ー(ラ)ー(シ)ー(ド)ー(シ)ー(ラ)ー(ファ)(ミ)
さ(ラ)る(ファ)ー(ミ)ー(ファ)ー(ミ)ー(ド)ー(シ)(ラ)
べ(ラ)つ(シ)に(シ)ー(ド)ー(シ)(ラ)
て(ファ)ん(ミ)ち(ミ)の(ミ)ー(ファ)ー(ラ)ー
じ(ミ)ん(ド)か(ド)ん(ド)に(ド)
あ(ミ)ら(ド)ざ(ド)る(ド)ー(シ)ー(ラ)(シ)(ド)ー(シ)(ラ)ー(ファ)(ミ)ー
あ(ラ)り(ファ)ー(ミ)ー

参考に、私の練習時の吟ですが聞いてみてください。


詩の内容と言葉の意味は下記の内容を確認してください。
【詩の意味について】
 誰かが私に、君はどういうわけでこんなみどり深い山に棲んでいるのかと尋ねる。
そんな質問に私は笑っているだけだ。
そんな俗人の問いかけにはおかまいなくのどかな気持ちである。
桃の花びらが水に浮かんで、はるかに奥深いところに流れてゆく。
ここには人間世界とはちがった別天地があるのだ。
【言葉の意味について】
何  意  どういうつもりで
碧  山  ふかみどりの山 青山と同じ
桃花流水  桃の花びらが水に浮かんで流れ去る
杳  然  はるかに奥深いさま 悠遠なさま
人  閒  人間世界 俗世間のこと

如何でしょうか?

ストレス発散になりました?

難しく考えないで、漢詩の内容を思い浮かべながら、声を出してみることから始めてみましょう。




※ 編集途中です。 




2015年7月4日土曜日 | By: 毅山

詩吟入門 1 【絶句とは】  課題吟  山中問答 李白

絶句には、七言絶句と五言絶句の二種類があります。



起承転結と言う言葉がありますが、普段の生活では余り使わないですよね?

しかし、詩吟を習い始めると普通に使うことになります。




「絶句」とは、漢詩の形式の一つで、起承転結の四句で構成されています。


  起句 承句 転句 結句 




それぞれの句が、漢字七文字で出来ている詩を「七言絶句」、漢字五文字で出来ている詩を「五言絶句」と言います。




唐の時代より古くからある「古体詩」に対して、唐の時代から作られ始めた「近体詞」の中に、この五言絶句・七言絶句は含まれますが



  唐の建国を調べますと西暦618年!



その唐の時代でも、西暦712年~765年までの約50年間を盛唐といい

この時代には

  詩仙と言われた 「李白」

  詩聖と言われた 「杜甫」

  詩仏と言われた 「王維」

その他多くの有名な詩人が、沢山の素晴らし詩を残してくれています。



詩吟入門では、絶句を中心に進めていきたいと思います。

今回の課題吟は、李白作『山中問答』です。

これは、七言絶句ですね。




起句、承句、転句、結句が、それぞれ七文字になっていますね。




起承転結の4句からなる絶句ですが、最初から最後まで同じリズムで続けて読まないで

 【二句三節】で読みます。

この【二句三節】の「二句」とは、「起承の二句」「転結の二句」の事で、この「二句」をそれぞれ三つの節に分けて読みます。



七言絶句の「起句」「承句」「転句」「結句」を文字数で表すと ↓ こんな感じになります。

 起起起起起起起 承承承承承承承 転転転転転転転 結結結結結結結



これを二句三節に分けると

 起起起起〇起起起承承〇承承承承承〇転転転転〇転転転結結〇結結結結結

 この様なイメージになります。

 〇の部分が大呼吸になり、それ以外では隠し呼吸などでリズムを崩さないようにします。




それでは、山中問答を、二句三節に分けてみます。


大呼吸
 

大呼吸
 

大呼吸


大呼吸


大呼吸


終わり




また、読みは日本語のアクセントが重要となり、一番注意しなければならないのが

  「一音目と二音目は同じではない」

ということです。




ここで、アクセント記号の読み方について見てみましょう。

 「頭高/あたまだか」・・・「桃花」 という言葉


        平仮名で書くと 「とうか」 になります。
        「と」の音が高くて 「うか」は低い音になります。

 「平板/へいばん」・・・「杳然として」 


平仮名で書くと 「ようぜんとして」 になります。
        「よ」が低い音で、「ぜんとして」が高い音で全て同じ高さになります。

 「中高/なかだか」・・・「答えず」 


平仮名で書くと 「こたえず」 になります。
        「こ」が低い音で、「た」が高い音で、「えず」がまた低い音で同じ高さになります。

この場合、「た」一文字だけが高い音になるので、「中一高」となります。


漢字の横のふり仮名に 【 」 】、【 | 】 等のアクセント記号が書かれています。
この記号にかかっている文字は高い音になりますので、しっかりとアクセント記号を確認しながら読んでみてください。

日本語独特のリズムである、二音一拍にも意識を持って行けると綺麗な日本語の読みになっていきます。
このリズムがないと、パソコンの自動音声の様な読みになってしまいます。



例えば、「答えず」ですが

 「こ」 「た」 「え」 「ず」 だと、アクセントがあっても聞いている人は不自然に感じてしまいます。


 これを二音一拍でよむと 「こた」 「えず」になります。
 

 読んでみると自然な日本語になります。




無意識で出来ていると思ますが、ここは意識してやってみてください。

自分ができていると思っても、相手に分かりやすく聞こえているかが、後々重要になってきます。



詩吟では、詩文を読む「素読」が非常に大切な練習のひとつとなりますので、自分が吟じたい詩がある場合は、「素読100回」・・・野球の1000本ノックみたいですが、とにかく詩の意味を思い浮かべ、アクセントに注意しながら、二句三節のタイミングで、素読を何回もやってみましょう!




五言絶句のサンプルとして、李白作「秋浦の歌」を見てください。

この通り、各句が五文字で出来ていますね。

これが「五言絶句」です。




次回「詩吟入門 2」は、音程に合わせた発声で、【詩吟をやってみる】です。